2025年10月3日より、東京都の最低賃金が時間額1,226円に改定された。前年の1,163円から63円の引き上げであり、引き上げ率は5.42%と過去最大級の水準を記録している。全国都道府県別のランキングでも引き続き第1位を維持しており、2位の神奈川県(1,225円)、3位の大阪府(1,177円)を大きく上回る水準となっている。
2026年時点の東京都最低賃金の概要
現行の最低賃金に関する基本情報を以下に整理する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 現行の最低賃金(時間額) | 1,226円 |
| 改定日 | 2025年10月3日(効力発生) |
| 前年度比 | +63円(引き上げ率5.42%) |
| 全国順位 | 第1位 |
| 適用対象 | 都内で就労するすべての労働者(業種・雇用形態を問わない) |
最低賃金の適用は給与の支払日ではなく、実際に勤務した日を基準とする。2025年10月3日以降に1日でも勤務がある場合、その勤務日以降の労働時間についてはすべて1,226円以上の賃金支払いが義務づけられる。
近年の推移と引き上げの加速
東京都の最低賃金は、ここ数年で急速な引き上げが続いている。以下はその推移である。
| 年度 | 時間額 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2021年 | 1,041円 | +28円 |
| 2022年 | 1,072円 | +31円 |
| 2023年 | 1,113円 | +41円 |
| 2024年 | 1,163円 | +50円 |
| 2025年(現行) | 1,226円 | +63円 |
2021年以降の引き上げ幅は毎年拡大しており、特に2024年・2025年の引き上げは政府の賃上げ方針を強く反映したものとなっている。
政府目標と2026年以降の見通し
政府は「2020年代に全国平均最低賃金1,500円」という目標を掲げており、この達成に向けて年率7%超の引き上げを継続する方針を示している。この目標を前提とすると、東京都の2026年度(2026年秋改定予定)の最低賃金は1,300円前後に達する可能性が高い。具体的な改定額は2026年7月頃に開催される東京地方最低賃金審議会の答申を経て決定される見込みであり、現時点では確定していない。
なお、労働団体の一部からは「2026年までに1,500円以上への引き上げ」を求める要請も出ており、審議会における議論の行方が注目される。
企業・雇用主が留意すべき実務ポイント
最低賃金の引き上げは、雇用主にとって人件費管理の見直しを迫る重要な経営課題である。対応に際して留意すべき主な事項は以下の通りである。
- 賃金台帳・給与規程の確認と更新:現行の時給・月給が改定後の最低賃金を下回っていないかを速やかに確認する
- 通勤手当・賞与の扱い:最低賃金との比較において、通勤手当・賞与・精皆勤手当は原則として算入しない
- 短時間労働者・アルバイトへの周知:雇用形態にかかわらず適用されるため、全員への周知が義務となる
- 業種別最低賃金との関係:特定の業種(製造業・百貨店業等)には地域別最低賃金よりも高い水準の「特定最低賃金」が別途設定されている場合があり、該当する場合はより高い方が適用される
最低賃金違反の罰則
最低賃金を下回る賃金を支払った場合、労働基準法の特別法である最低賃金法に基づき、50万円以下の罰金が課される。違反が発覚した場合には差額の全額遡及支払いも求められるため、定期的な賃金水準の確認が事業者に求められる。
東京都の最低賃金は、今後も継続的な引き上げが見込まれる。中小企業にとっては人件費負担の増大という課題である一方、良質な人材の確保と従業員の生活水準向上に資する側面も持つ。東京商工会議所では、賃金管理・労務管理に関する専門家への相談窓口を設けており、最低賃金改定への円滑な対応を支援している。
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